G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

33 2022 vol.12 G&U 内圧安全性については性能基準例を示す ――内圧安全性についても教えてください。 内圧安全性の設置基準については、「内圧発生 のリスクが高い箇所、溢水発生リスクが高い箇所」 をリスク環境レベルⅠ、「浸水想定区域において 大型車の交通量が多い車道」をリスク環境レベル Ⅱ、「浸水想定区域」をリスク環境レベルⅢとし ました。 性能基準については、JIS規格で設定されている 性能基準を参照することとし、リスク環境レベル Ⅰの性能項目として、大量排気性能および耐圧性 能、リスク環境レベルⅡの性能項目として圧力解 放耐揚圧性能、転落防止性能、リスク環境レベル Ⅲの性能項目として耐揚圧荷重強度、転落防止性 能を示しました(表3参照)。 「大量排気性能に関しては、格子状の開口部を 設け内部からのガス等を排出できる蓋などを、耐 圧性能に関しては、蓋のかん合部にゴムパッキン を取り付け、ボルトで蓋を固定することにより耐 内圧性を持たせた蓋などを推奨しています」 維持管理計画作成などの場面で活用を期待 ――マニュアルをどう活用してほしいかお聞かせ ください。 マニュアルは、マンホール蓋の維持管理計画作成 におけるリスク評価、修繕・改築手法の選定、改築 計画の策定等の場面での活用が期待されています。 「維持管理の時代に入り、マンホール蓋のスト ックマネジメントの重要性が高まっています。国 のストックマネジメント支援制度を活用するため には、マンホール蓋の属性や維持管理の履歴等の 情報を管理することが必要です。ぜひ、マニュア ルをご活用いただき、マンホール蓋のストックマ ネジメントを進めていただきたいと思います」 マニュアルでは資料編に、事業体におけるマニ ュアルの活用事例も掲載されています。 「地域や事業体によって、マンホール蓋の設置 環境は異なり、さまざまな課題があります。その ため、ケーススタディとして、政令指定都市、積 雪寒冷地の都市、および比較的小さな都市におけ る活用事例を掲載しました。こうした資料も参考 にしていただければと思います」 P R O F I L E【ながた・ゆりお】 平成元年3月山口大学大学院修了(土木工学)。総合建設会社勤務を経 て東京都に入庁。建設局で河川設計、計画に携わったのち、下水道局に 異動し区部や流域下水道の計画に従事。23年4月東京都下水道局第一 基幹施設再構築事務所工事第二課長、25年4月(公社)日本下水道協会 企画調査部企画課長、27年4月東京都下水道局計画調整部開発計画推 進担当課長、29年4月同建設部工務課長、31年4月同施設管理部管路 管理課長、令和3年4月から現職。 ■表3 内圧安全性の性能基準例 (マニュアル p.46「表3-17」より) ※1:ここで示す性能基準例は、呼び600のマンホール蓋を対象としている ※2:JIS附属書C参照 ※3:次世代型マニュアル参照 ※4:JIS附属書A参照 ※5:JIS参照 リスク環境 レベル 性能項目 性能基準※1 Ⅰ 大量排気性能※2 蓋に格子状にした開口を設け、内部から のガスや水を排出できるもの 合流管において、商店街や住宅密集地区 等の臭気対策が必要な場所には中蓋を取 り付けることができるもの 耐圧性能※2 ① 蓋のかん合部にゴムパッキン等を取り 付け、ボルトで蓋を固定し耐内圧性を もつもの ② 規定内圧内で内部からの漏水が少ない もの Ⅱ 圧力解放耐 揚圧性能※3 圧力解放 性能 0.1MPa以下でマンホール内の圧力を解放 できる性能を有するもの 耐揚圧荷 重強度 ① 蓋の裏面からの荷重(圧力)が、錠やち ょう番および浮上ロックに加わったと き、規定値の範囲で錠が先に破損し、ち ょう番が破損しないこと ② 破損荷重の下限は浮上開始の規定の圧 力の2倍以上で、その上限は枠の緊結ボ ルトの保証荷重106kN未満であるもの 耐揚圧衝 撃強度 試験荷重(T-25:210kN、T-14:120kN) を繰り返し10回載荷した後に、空気の圧 縮により蓋を浮上させてたときに、錠や ちょう番および浮上ロックに破損が生じ ないもの 転落防止性能※4 下記の試験荷重を負荷したとき、転落防 止装置の脱落、破損等の異常がないもの ・ 耐揚圧荷重強さ(kN)=転落防止装置 の投影面積(m2)×0.38(MPa)×1000 ・耐荷重強さ(kN)=4.5kN Ⅲ 耐揚圧荷重強度※5 60kN ~106kNの範囲内において錠が先に 破断し、ちょう番が残るもの 転落防止性能 リスク環境レベルⅡと同じ性能を有する もの ▲ 浮上防止の蓋(マニュアル p.83「図資1-3 次世代型車道用/歩 道用共通の構造」より) ▲ 格子蓋(マニュアル p.84「図 資1-4 次世代型車道用(グ レートタイプ)」より) 開口部 ちょう番 浮上ロック 自動錠 断面 裏面 自動錠 ちょう番 浮上ロック

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