G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

13 2022 vol.12 G&U PF)は、クラウドサービスとしての提供を念頭に 置いて検討を進めているところです。毎回のシス テム料を支払えばメンテナンスフリーで利用でき ますので、中小事業体でも取り組みやすいものと なるでしょう。この共通PFは、令和5年度の運用 開始をめざして、下水協が準備を進めています。 一方、財政的支援としては、管路施設の施設情報、 維持管理情報等のデータ化を支援すべく令和4年 度に「下水道情報デジタル化支援業務」を創設し ました。補助率は全体費用の1/2となっており、 補助対象はすべての管路施設としているのが大き な特徴です。台帳システムの改修費は補助対象外 となっていますが共通PFをはじめとするクラウ ドサービスを利用していただければと考えます。 マンホール蓋の維持管理情報も対象に 劣化予測技術や新たな蓋の開発にも期待 ――台帳電子化によりマンホール蓋の維持管理はど う変わっていくでしょうか。考えをお聞かせください。 令和元年度の管路の維持管理ガイドライン策定 時、マンホール蓋に関する記載に携わり、その際 に関係者の方々からヒアリングをする機会があり ました。「蓋のがたつきや腐食、それに伴う事故 に関する情報が不足しているのではないか」との 話を聞いており、各事業体でもそうした記録が残 っていないことが多かったところです。 そのような意見も踏まえ、台帳電子化の取り組 みの中では、もちろんマンホール蓋の施設情報や 維持管理情報もデータ化していただきたいと思い ますので当然財政支援の対象としています。なお、 その維持管理情報には苦情や過去の事故情報など も付随しています。データ利活用の環境が整うこ とで、そうした情報がG&U様をはじめ、民間企業 や研究機関などに共有され、新たな技術開発につ ながっていくのではないでしょうか。特に事業体 では、マンホール蓋を更新するタイミングをどの ように見極めるかといった点もこれまで懸案事項 だったかと思います。交換時期を判定できるよう な劣化予測技術や、がたつきや腐食をより抑えた マンホール蓋の開発など、データを解析して今後 の調査研究に生かしていただきたいと期待してい ます。 データは事業体だけでなく産官学にメリット 業界全体でマネジメントの高度化めざす ――最後に地方公共団体や民間企業の方々へのメ ッセージをお願いします。 まずはデータの活用ができる環境、その基盤と なるような台帳電子化を各事業体の皆さんには進 めてもらいたいと考えております。現状は社会的 影響の大きい管路施設を優先していますが、施設 管理高度化や業務効率化の観点から、処理場やポ ンプ場の維持管理情報についても将来的には電子 化をめざしてほしいです。そのためにも、我々は、 新たな支援も含めて今後よりいっそう取り組みを 推進していきたいと思います。 台帳の電子化には「ビッグデータの蓄積」とい う目的も含まれています。こうしたデータは、技 術開発や研究活動、新たな指針の策定などに資す るものですので、事業体のみならず、国土技術政 策総合研究所、大学などの各研究機関や民間企業 においてもデータの基盤を整えていくことは大き な意味を持つ取り組みとなるでしょう。今後は業 界一丸となって、マネジメントの高度化に取り組 んでいければ大変頼もしく思いますし、我々もそ のような体制を構築できるよう努めてまいります。 P R O F I L E【すえます・ひろつぐ】 平成22年国土交通省入省。平成25年4月から27年3月まで国土交通省 下水道部下水道事業課に配属され、下水道事業の予算関連に従事。そ の後、宮崎市都市整備部長、環境省特定廃棄物対策担当参事官室参事 官補佐を経て、令和2年4月より現職。

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz