G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

12 2022 vol.12 G&U Close UP Part 1 DXを支えるデータとは ドラインを策定しました。このガイドラインでは、 主に維持管理情報を記録するにあたり必要なデー タ項目やそれらデータをどのように業務に活用し ていくかという点を解説しました。さらに同3年 9月には、(公社)日本下水道協会(下水協)が「下 水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手 引き」を改定し、維持管理情報の標準仕様が新た に定められました。データ活用の基盤整備として 下水道施設台帳の電子化に向けた取り組みが、 徐々に進められてきたものと考えています。 R7までに全事業体へ台帳電子化を求める 新たな支援制度などで取り組みを後押し ――台帳電子化の現状について教えてください。 令和3年1月に全事業体を対象としたアンケー トを実施したところ、全体のおよそ81%は、下水 道台帳管理システムを整備済みとの回答が得られ ましたが、システムで取り扱う情報を確認したと ころ、全体のおよそ45%が施設情報までの電子化 が完了、36%が維持管理情報を含めて電子化済み という結果でした。つまり、システムが未整備の 箇所を含めると、全事業体の約64%が維持管理情 報を電子化できていないということになります。 国としては、まずは道路陥没など、市民生活に 大きな影響を及ぼすことが懸念されるという観点 から、管路施設の維持管理情報の電子化を先行し て進めています。令和3年5月の第5次社会資本 整備重点計画にて、令和7年度までに各事業体に 維持管理情報を含めた電子化に取り組んでいただ くことを閣議決定しております。その目標達成に 向けて、現在、電子化支援制度等の整備を進めて います。 その取り組みのうち、技術的支援の1つとして、 維持管理情報を一元的に管理・運営する「共通プ ラットフォーム」の構築があります。下水協が令 和3年度に検討委員会を立ち上げ、必要な機能や データの連携手法の検討を進めてきました。特に 小規模事業体は、システムを維持するための技術 職員が不足しているという話をよく聞いており、 電子化のハードルは非常に高いものと思われます。 これを受け、下水道共通プラットフォーム(共通 ▲下水道情報デジタル化支援業務(下水道DXの推進)の概略(出典:国土交通省資料) ▲全事業体における台帳電子化(管路施設)の状況 (出典:国土交通省資料をもとに作成) ●下水道事業の持続性向上のためには、施設情報 や維持管理情報等をデジタル化することによる業 務の効率化や、蓄積データを活用した管理の高 度化が重要 ●水防法改正を踏まえた内水浸水想定区域図等の 作成のために必要となる浸水シミュレーションの 実施には、下水道管路情報のデジタル化が重要 ●中小市町村などではデジタル化が遅れており、そ の整備は急務 ●下水道管路に関する情報等をデジタル化するた めに必要な経費を支援する「下水道情報デジタル 化支援事業」を創設 (補助率:1/2、令和8年度まで) 背景 概要 共通プラットフォームを活用した下水道管路のマネジメントのイメージ 施設情報 維持管理 情報 デジタル化を支援 地方公共団体 民間企業 地方公共団体 民間企業 点検結果等 の入力 施設情報の 入力 情報収集・統計分析等 データ出力 地方公共団体 民間企業 一般公開 データ 市民等 インターネット ブラウザ 下水道台帳等 維持管理情報の電子化 未整備 維持管理情報まで 整備済 施設情報までは 整備済 未整備 64% 45% 19% 36%

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