G&U技術広報誌vol.14

7 2025 vol.14 G&U 強靱で持続可能な下水道システムの構築に向けて~事業マネジメントの推進 されるとともに、効果的な改善提案にもつな がります。官民連携を進めていくうえでも大 事な取組です。 いま、令和7年度までにすべての都市で管 路台帳情報の電子化を完了することを目指し ていますが、中小規模の都市を中心に進捗が 遅れています。このような都市においても、 むしろ、執行体制が脆弱であるからこそ、官 民連携や広域連携の基盤としてデータベース 化が急がれると言えます。 また、7月には前総理から上下水道DXの 推進についての指示がありました。これを踏 まえ、メンテナンスの精度や効率性を向上さ せる、既に実用化され実績のある様々なデジ タル技術について、分かりやすいカタログを 本年度中に策定し、今後5年程度で全国への 普及展開を進めていきます。 新しい時代に相応しい機能を備えた蓋に、 計画的に更新していくことが重要 ――マンホール蓋について課題等がありまし たら教えてください。 マンホールは、管路施設の維持管理上、重 要な施設です。特にマンホール蓋は管路施設 への入口であると同時に、歩行者や車両の通 行を担う道路の一部です。安全面や維持管理 面から必要な機能が発揮できるよう適切に維 持管理、機能向上を含む改築更新を進めてい く必要があります。 日本グラウンドマンホール工業会が出して いるデータによれば、現在、設置から30年以 上経過しているマンホール蓋が約350万基(推 定を含む)、これが今後10年で700万基に拡大 する見込みであること、1年間の改築更新数 が約10万基で更新率は0.6%程度にとどまる とのことですが、先ほどの管路更新率の話と 主要な施策 指標の名称(算出方法) 単位 指標の解説 管路施設の緊急度Ⅰの施設数 (未対策の緊急度Ⅰの延⾧(時点は任意)) (未対策の緊急度Ⅰのマンホール本体(時点は任意)) (未対策の緊急度Ⅰのマンホール蓋(時点は任意)) km 基 基 老朽化対策(ストックマネジメント)の管路施 設における管理指標 管きょの調査率 (調査実施済延⾧/点検・調査計画延⾧) % 老朽化対策(ストックマネジメント)の管路施 設における管理指標 施設の老朽化率(管渠) (耐用年数超過管渠延⾧/下水道維持管理延⾧) % 下水道管渠の維持管理延⾧のうち、標準的耐用 年数を超過した管渠の総延⾧の比率。劣化の度 合いをそのまま表現した指標ではなく、定期的 な機能の点検・調査の実施及び計画的、段階的 な改築(更新)の参考となる指標である。 管渠改善率 (改善(更新・改良・修繕)管渠延⾧/下水道維持管理 延⾧) % 下水道管渠の維持管理延⾧のうち、1年間に更 新・改良・修繕された管渠延⾧の比率。標準的耐 用年数に達している、いないにかかわらず、施 設の改善をどの程度進めているかを示す指標 である。計画的な調査が前提となることから、 管渠調査率との一体的な評価が望ましい。 下水道サービスに対する苦情件数(10万人当たり) 苦情総件数/下水道処理人口×105 件 1年間に下水道管理者が通報を受け文書化した 下水道処理人口10万人当たりの苦情件数。この 指標が高いと、ユーザが下水道事業に対する関 心が高くサービス向上に対する期待度が大き いともいえる。住民からの苦情は、下水道サー ビスの向上への貴重な情報と捉え、正確に記録 し内容とともに指標の経年変化を分析する。 (表1)客観的指標の例 事業マネジメントガイドライン(p.19)掲載 老朽化施設(ストックマネジメント) 管路施設

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