G&U技術広報誌vol.14

5 2025 vol.14 G&U 強靱で持続可能な下水道システムの構築に向けて~事業マネジメントの推進 策は待ったなしに取り組む必要があります。 老朽化対策・改築更新は持続可能な下水道 システムへと作り替えて行く絶好の機会 一方で、様々な社会状況の変化があります。 まず人口減少の問題。人口のピークを過ぎて もう15年以上経過し、これから先、人口減少 のスピードはさらに大きくなります。本格的 な人口減少にも対応した施設規模の適正化を 図りつつ改築更新を進めていく必要がありま す。 また、増大する災害リスクへの備えや、カ ーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化、 食料安全保障の強化等の観点から下水汚泥資 源の肥料利用の拡大など、これからの下水道 に期待される新たな役割にも対応していかな くてはなりません。 課題山積ですが、改築更新のタイミングは、 これからの時代にふさわしい強靱で持続可能 な「下水道システム」へと作り替えていく、絶 好の機会とも言えます。本格的な維持管理・ 更新の時代を迎え、下水道事業全体の最適化 の観点から、最適で効率的なマネジメントが 求められています。 「事業マネジメント」とは何か――老朽化 対策を起点に下水道事業の持続性と価値 を向上させるための取組 ――そうした下水道の、老朽化対策をはじめ とする様々な課題の中で、「下水道事業にお ける事業マネジメント実施に関するガイドラ イン」が刊行されました(令和6年7月、国土 交通省上下水道審議官グループ)。この国土 交通省で取り組まれている「事業マネジメン ト」について教えてください。 ガイドラインの「はじめに」の記載から紹 介しますが、これからの時代の要請に的確に 対応し、それにふさわしい下水道サービスの 持続性の確保に向けては、「新たな施策や未 来に向けた新たな挑戦をスピーディーかつ着 実に実践し、効率的なメンテナンスを実現す ることが必要」です。 このため、適切な使用料の設定などの経営 改善や、ウォーターPPPなどの官民連携、広 域化・共同化などによる執行体制の強化とと もに、下水道施設の改築更新のタイミングを 逃さず、適切な規模・機能を備えた施設にフ ルモデルチェンジしていくという思想を持っ て、ストックマネジメント計画などの各計画 の策定、見直しや新たな施策の導入検討を行 うことが重要です。 「事業マネジメント」は、財源の確保や執行 体制を強化する取組と相まって、施設の老朽 化対策を起点として、地域の特性に応じたサ ービス水準の達成――利用者や社会に対する 下水道インフラの価値向上に向けた各施策の 目標と優先度を適切に定めて、効率的な事業 運営を行い、下水道事業を将来にわたり継続 させるための取組ということになります(図 1)。 これをどのように実施すればよいのかをま とめたものが、7月に公表した「下水道事業 における事業マネジメント実施に関するガイ ドライン―2024年版―」です。一般的な検討 手順などを示していますが、各地方公共団体 の実情を踏まえた独自の検討を行うことで、 さらに実効性のある「事業マネジメント」の 取組を実践していただければと考えています。 これからの社会の中で、下水道がどのよう な貢献をしていくのか、そのための持続可能 な「下水道システム」とはどういう姿になる のか。それに向けてどのようなスケジュール で進めていくのが効果的なのか――大変難し い課題ですが、それを考える絶好の機会とし て今を捉えて、事業全体を見渡したマネジメ ントを、ぜひ自治体の皆様方にはお願いした いところです。 下水道事業に係る運営方針や目標を明確に して、現状評価と課題抽出(C)、目標設定(A)、 施策相互の調整(P)、各施策の実施および進

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