G&U技術広報誌vol.14

40 2025 vol.14 G&U Report 令和6年能登半島地震 マンホール(開口部)からカメラを入れるこ とで対応できます。しかし、圧送管には開口 部がほとんどない、あっても口が小さいこと がほとんどで、やむを得ず100mくらいの間 隔で開削し、管の上部をはぎ取ってカメラを 入れました。 それが1ヵ所だけではなく、あちこちに数 百mから1kmほどのスパンの圧送管があっ たため、調査担当の方々は非常に苦労してい ました。どこの自治体も圧送管の調査はなか なかできていないと思います。マンホールを 使った方法ですとか、効果的な調査技術の開 発や普及に期待をしています。 現場の教訓を共有し課題解決へ ――最後に、全国の自治体へのメッセージを お願いします。 小川 まずは復旧に携わられた関係者の皆様 の多くのご支援に対し感謝を申し上げます。 今日お話しした通り、災害のたびにいろいろ な課題が出てきますが、それを自治体や関係 団体・企業の方々と共に解決していく取り組 みこそが重要であり、必要なことであると考 えています。われわれのような国の職員は、 現場のことを深く理解しているとは言えませ ん。今回も最前線で調査や復旧を担当された 方のほとんどは自治体と企業の方であり、そ ういった方々の声は貴重な財産だと考えてい ます。今後もぜひその経験や感想をお聞かせ いただき、課題を一つ一つ着実に解決してい くことで、事前・事後の災害対策をより一層 レベルアップさせていきたいと思います。 山上 小川さんと重なりますが、全国から来 ていただいた支援自治体の方々をはじめ、お 世話になった皆様にお礼を申し上げます。ま た、地震で亡くなられた方のご冥福をお祈り Column 〔令和6年能登半島地震〕マンホール蓋製造会社の震災復旧支援 情報共有:元日の発災直後から 情報共有を続けました。し かし被災した自治体とは連絡が取れず、 しばらくは待つしかない状況でした。そ の間も情報を集めながら、これから下水 管の調査が始まり、全国から応援事業体 が集まってくることを想定していました。 被災状況:金沢でもマンホール の突出や浮上、道路の陥没 が発生して、発災直後は一部の地区で、 一時的に水道・下水道が使えないことも ありました。 初期対応:1月4日に石川県庁に 行って、都市計画課の生活 排水対策室の方に会って被災状況を確認 したり、我々として対応できる支援とし て、バール(マンホール蓋の開閉器具) の提供や操作説明会を申し入れました。 支援本格化 :1月5日に県の災害 対策本部に下水道支援調整 隊が設置され、6日になると県は自治体 に対して、能登方面の事業体に使用する バールの種類や下水道台帳の情報提供を 緊急依頼しました。こうして8日以降、 応援に入った事業体向けの県による説明 会のなかで、我々はバールの操作説明を 実施しました。 バールの提供:一方、バール は、全国からの応援事 業体の数に足りるほどの本数は手元にな く、物流が滞るなか、全国から合計 170本を集めました。これを金沢市内 の、応援事業体さんの各詰所に届けたり、 まだ車両が入れない輪島市へは他の自治 体さんに協力をいただきました。我々が 直接届けることができるようになったの は1月中旬以降で、県から緊急車両の 通行証を発行してもらいました。このこ ろには管路の二次調査も始まり、管路協 (日本下水道管路管理業協会)さんや土 改連(石川県土地改良事業団体連合会) さんへの提供も始めました。 特殊なバール:説明会以外でも たびたび相談を受けました。 多かったのは「蓋が開かない、開け方が わからない」。現場に行って手伝うこと もありました。バールは全部で5種類 あります。ある事業体さんの蓋は特殊な 形状のバール穴で、支援に入られた事業 体さんから蓋の開閉で時間を取られてい マンホールが浮上(震災時、金沢市内)

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