G&U技術広報誌vol.14

4 2025 vol.14 G&U Prologue 下水道事業とマンホール蓋における課題 国土交通省は令和6年7月、下水道施設の老 朽化問題を背景に、下水道事業を将来にわた り継続させるためには「事業マネジメント」 の取組を進めていくことが重要であるとして 「下水道事業における事業マネジメント実施 に関するガイドライン―2024年版―」を発刊 しました。この「事業マネジメント」とは何か、 今回のガイドラインが目指すところや重要性 について、マンホール蓋の位置付けも交えつ つ、同省下水道事業課の吉澤正宏課長にご解 説をいただきました。 本格的なマネジメント時代へ――老朽化対 策待ったなし、管路更新率の着実な向上へ ――今回のガイドライン発刊の背景となる、 下水道事業が直面している課題について教え てください。 ご承知の通り、下水道処理人口普及率は8 割を超えて(令和5年度末に81.4%)、これま でに整備された下水道管路延長は約49万km、 処理場数は約2,200箇所と、膨大なストックを 抱えるようになりました。これらを良好に維 持管理しながら、下水道は日々、住民の快適 で安全・安心な生活を支えるとともに、良好 な水環境の保全等に貢献しています。 この下水道ストックの多くは、高度成長期 以降に急速に整備されており、今後、標準耐 用年数を超えた施設の割合が急拡大し、老朽 化が進行していきます。 現在、下水道管路の標準的な耐用年数であ る50年を超過している管路延長は約3万km (全体の約7%)、10年後には約9万km(全体 の19%)、20年後には約20万km(全体の40%) に達する見込みです。 1年間に全管路延長のどれくらいが更新さ れたかを表す指標が「管路更新率」ですが、令 和4年度で0.15%、年間約700kmの管路が更 新されています。水道と比べると後発のイン フラであり低い数値に留まっていますが、こ れから耐用年数を超える管路延長が急拡大し ていく中で、管路更新率を着実に向上させて 行かなければなりません。良好な下水道サー ビスを継続的に提供していくため、老朽化対 強靱で持続可能な 下水道システムの 構築に向けて~ 事業マネジメントの推進 吉澤 正宏 氏 国土交通省 水管理・国土保全局 上下水道審議官グループ 下水道事業課長

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