G&U技術広報誌vol.14

39 2025 vol.14 G&U 能登半島地震における被害状況と復旧に向けた取組 いざという時に持っていくため、タイプの違 う開閉用の工具が4~5本置かれていました。 山上 課題と言えば課題ですが、すでにいろ いろな蓋が設置されている以上、工具の側で 対応するほかないように思います。似たよう な話として、水道のバルブも開栓方向が時計 回りか反時計回りか、自治体ごとに違います。 そういった「普段との違い」は応援自治体側 で把握し、班編成が変わるタイミングできち んと引き継いだり、ミーティングで関係者に フィードバックしたりする取り組みが行われ ており、非常に重要です。 大雨対応で感じた自治体の底力 ――9月下旬には大雨が起こりました。2つ の災害が重なり、支援室としても大変なご苦 労があったと思います。 山上 正直なところ、地震被害の復旧に関し ては5月末あたりで目鼻はついていて、応援 自治体も撤退していました。その後は、地方 公共団体で本復旧のための査定設計書を組ん でいただき、支援室では早期に復旧が困難な エリアの応急仮設や本復旧に関する相談を個 別に受けておりました。9月に入った時点で は、下水道の仮復旧はほぼ完了し、月末には 地震後断水していた2地区で通水を再開でき るという段階まで来ていました。 その矢先の大雨だったので、さぞかし自治 体の皆様も気落ちしているのではと思いつつ 現地に入ったら、すでに「やってやる」と気持 ちを切り替えていたのが非常に印象に残って います。応急仮設が損傷し、1月からの復旧 作業に逆戻りしたような箇所もあったのに、 そこでもう一回エンジンをかけ直したのは本 当にすごいことで、底力を見ました。 更新・耐震化で次の災害に備える ――今回の災害を踏まえて考えるべきこと、 取り組むべきことは。 小川 まずは下水道施設の耐震化です。対策 検討委員会の報告書では、その一定の効果が 認められたとした上で、さらなる推進が提言 されています。平時からいろいろな技術を検 討開発し、採用していくことが必要でしょう。 マンホールに関して言えば、災害時調査で は膨大な数の蓋を開けるため、そこにかかる 時間が復旧のスピードにも影響します。作業 を行う側としては、蓋は丈夫であり、開閉し やすいことが重要です。新しいタイプの蓋は 耐用年数が長く、腐食による固着も起こりに くいと聞きましたので、そういったものの普 及が望まれます。 山上 マンホール自体の課題ではないんです が、圧送管のカメラ調査が思い浮かびました。 自然流下管のカメラ調査については、清掃・ バキュームは必要となるものの、基本的には 写真3 羽咋市でのマンホール内の滞水 (写真提供:国総研) 写真4 バキュームカーによる汚水の吸引 (写真提供:国総研)

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