37 2025 vol.14 G&U 能登半島地震における被害状況と復旧に向けた取組 ーンなど、いくつかの応急仮設案を提示した ケースもありました。 被災自治体からしばしば相談を受けたのが、 「この工事は国の災害復旧事業費として認め られるのか」という悩みです。これに関して は不正確なことは言えませんので、所管部署 にあたる本省の防災課とウェブ会議をつなぐ ことで対応していました。 極端な液状化被害は見られず ――地震による被害にはどのような特徴があ りましたか。 小川 対策検討委員会の報告書にもあるよう に、まずは最大震度7と地震動が大きく、必 然的に上下水道施設の被害もそれに起因する ものが顕著でした。地震動の大きさと範囲の 広さに対して、処理機能・流下機能を完全に 喪失した下水道施設は多くなかったように思 います。能登半島の下水道はどちらかという と整備時期が遅く、一定の耐震性を有してい たことが、比較的軽微な被害で済んだ理由の 一つではないでしょうか。 当初は津波による被害も懸念されていまし たが、特筆するような状況は見られませんで した。過去の同規模の地震に比べると、液状 図1 現地の復旧支援体制(国交省資料より) 写真1 現地対策本部の様子 (写真提供:国総研) 化の被害も大きくは目立たなかった印象です。 ――液状化被害は土壌に左右されるイメージ がありますが。 小川 一概にそうとも言えず、能登地方は一 般的に「液状化しやすい」とされる砂分の土 質の地域が多くを占めます。これは現在下水 道研究室で研究しているテーマなのですが、 液状化被害は地震動継続時間と相関関係があ ります。ご存じの通り、揺れが3分以上続い た東日本大震災では至るところで液状化が発 生しましたが、それと比べれば能登半島地震 は継続時間が短かった。その結果、同等の震 度や地質でも、突き出したマンホールがあち
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