G&U技術広報誌vol.14

34 2025 vol.14 G&U 高負荷環境にある蓋を次世代型へ改築 することでランニングコストを抑制 ――続いて今回の新しいマンホール蓋の導入 による、ランニングコスト抑制効果について 石田様にお話を伺いします。 蓋の課題の一つは、より過酷な場所、高負 荷な環境では不具合劣化が進みやすく、事故 が起こりやすいので、古い蓋が増えることに 伴ってリスクが高まっていることです。 そうした蓋の応急措置的な対策は事業体の 負担になります。改築や維持管理にお金がか かり、業務負荷は将来的に増えてきます。 これをいかに解決するかという視点で、 我々メーカー側、協会側ができることは、蓋 の耐久性を上げて、より長持ちするもの、よ り安全性の高いものを提供していくことで、 課題の解決に寄与できると考えています。 高負荷環境にある蓋の割合 使い分けを推奨――30%~50%が対象 ――その、維持管理の費用削減の研究につい て教えてください。 次世代型は高負荷な環境・場所(大型車の 交通量が多い道路、スリップの懸念がある交 差点や坂道、腐食の発生しやすい場所、内圧 が発生しやすい場所等)で使っていただくこ とで、よりメリットがあると考えています。 そこで、高負荷環境とそれ以外の一般環境 が、どれくらいの割合になるのかをいくつか の都市を対象に算出しました。 表1はその一例で、ある政令市ですが、高 負荷な環境下のマンホールは全体・664基の 25%・167基を占めています。他の都市も含め た平均は30%から40%くらいです。推奨とし ては50%程度を提案しています。 ライフサイクルコスト低減により改築更 新費は半分に——60年間で1億3200万 円削減(170基改築シミュレーション) この25%・167基を、従来の一般的な JSWASのG-4(日本下水道協会規格)の蓋で 改築した場合と、今回の次世代型で改築した 場合で比較してみました。 算定の条件は、蓋を単独で取り替えたとき の工事費(円形工法の場合)と材料費で、1箇 所40万円くらいのコストと試算しました。 基本的には従来型と同等価格でご提供して いくという価格方針です。 取り替えサイクルは、従来型は15年。実際 これまでの調査で(15年程度で)不具合が顕 在化してくることが分かっています。今回の 次世代型は30年です。60年という長期で見る と、従来型は4回取り替え、次世代型は2回 取り替えとなります。 同じ40万円で提供できれば、60年間で50%、 総額1億3200万円の削減効果が得られること が分かります。170基ほどの改築でこれだけ の効果が出ました(表2)。 業務負担軽減にも期待――住民苦情や 応急処置の低減が住民サービスの向上へ それに加えて、自治体では、蓋に不具合が 発生して現場に駆けつけたり、住民からの苦 情に対応したり、応急処置をしたり、道路規 制をしたり。そのことで管路の清掃や点検な ど本来の業務で、計画された日進量をこなせ ないこともあります。こうしたことも、今回 の耐久性を飛躍的に高めた次世代型の導入に よって、計画外の予期せぬ業務が減少します。 結果として、住民の生活サービスの向上に寄 与できます。 また「蓋が開かない」という不具合も生じ にくい製品なので、導入すれば管路の維持管 2 マンホール蓋のランニングコスト抑制効果 Close UP 新たな性能規定 標準耐用年数の2倍の耐久性と防食性能

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