32 2025 vol.14 G&U 値は圧力解放性能と同じ0.1MPa以下を目標 にしています。これは蓋の面積で換算すると 約31kNで、バールで開けようとした場合に、 バールにかける力とてこ比から58kgf、概ね 人の体重程度になります。 つまり0.1MPaという基準で評価しておけ ば、実際に開閉器具で開ける際にも体重相当 の力で開けられるということから圧力解放の 0.1MPaでの評価結果を転用しました。 58kgfはあくまで概算です。実際には力の ベクトルやバールの支点と蓋が当たる位置に よっても変わります。 5)耐荷重性能 30年経過時でも壊さないための応力度の設定 腐食環境の厳しいところでは蓋の内側から の腐食、減肉も無視できません。そこで、耐 荷重については、30年経過した時点で、腐食 劣化により減肉した状態であっても、材料の 耐力値以下で塑性変形しないことを目標にし ました。 いくつかの試験のうち、一つは発生応力度 です。T-25の場合、活荷重の100kNに対して 衝撃係数0.4を加えた140kNという荷重で照 査を行いました。初期性能の基準である許容 応力度は部材係数や、不確定さも考慮して 235N/mm2以下に設定しています。 腐食減肉した状態で解析 初期状態は、実際に実機で確認を行います。 限界状態は、実際にものを作るのが難しいの で、解析で評価をします。リブや平板が30年 相当で2mm減肉した状態で、初期の実測値 と解析の精度誤差も考慮して、評価をします。 リブ形状の最適化 そのリブは、従来構造の井桁リブと違って 放射状になっています。これは円形の蓋なの で、どんな方向からの荷重も均等に力を伝え るということで、まず放射状のリブを前提に して、そこから細かい形状に関しては最適化 をはかった結果です。 繰り返し荷重でも壊れない設計 解析例の図では、色が赤に近づくにつれて 高い応力を示しています。 赤い箇所は、実機で測定した結果で言うと、 中央に載荷した条件で210N/mm2程度の応力 がでています。 235N/mm2以下であれば、繰り返し荷重が かかったとしても壊れない設計だとは言えま す。大きな荷重というよりも、繰り返し荷重 に対して問題ないこと、減肉した状態でもす ぐに壊れるような応力にならないことを確認 しています。 6)耐スリップ性能 二輪車のスリップ防止――30年相当で濡れ たアスファルト同等の0.45以上 バイクの転倒などを防ぐ、二輪車のスリッ プに対する性能です。30年経過して摩耗が生 じている状態でも、滑り抵抗値が濡れたアス ファルトと同等の0.45以上であることを目標 にしています。 この30年相当の摩耗は、最も摩耗の激しい 交差点を想定して、蓋の模様高さ(突起)の摩 耗量は年間0.2mmというデータから、30年で は6mm減じることになります。 滑り抵抗値0.45とは、過去の技術マニュア ルにある数値と同じで、「バイクと法令」とい う文献からの引用です。 試験機と人の両方で検証 試験は、いろいろな方向からの乗り入れを 考慮して、蓋の全体を網羅する表面9箇所で 滑り抵抗の測定を行いました。DFテスター R85という試験機で測ります。結果、30年相 当となる、模様高さを6mm減じた状態でも、 9箇所の滑り抵抗値の平均値は0.56で、目標 値(濡れたアスファルト相当0.45)以上の抵抗 があることを確認しました。 ――ありがとうございます。 Close UP 新たな性能規定 標準耐用年数の2倍の耐久性と防食性能
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