30 2025 vol.14 G&U 30年の耐久性と防食性能が特徴 ――30年に耐え得る蓋に求められる性能に ついて教えてください。 今回の技術マニュアルの基本的な考え方は、 2007年の技術マニュアル(「次世代型マンホ ールふたおよび上部壁技術マニュアル」下水 道新技術推進機構)を踏襲しています。 そこで30年を経過した状態でもその性能を 維持しているという性能を6つ設けました。 特に「防食性能」は2007年版にはなかった 性能です。対「錆び」ですね。腐食によるいろ いろなリスクも考えて、新しく要求性能に追 加しました。 蓋の安全性は、道路の視点として、大型車 が通る環境でも長期でがたつかない「耐がた つき性能」や「耐荷重性能」「耐スリップ性能」 を目指しました。 管路の視点としては「圧力解放性能」(豪雨 による急激な内圧上昇による蓋の飛散防止の ためにその圧を逃がす性能)や「蓋の開放性 能」の維持を目指しました。 特に耐がたつきと、蓋の開けやすさ・圧力 解放はトレードオフです。蓋を枠に強く食い 込ませればがたつきは減りますが、開けにく くなります。旧来の構造では解決が難しく、 これを解決するために新しい構造と、防食性 能を追加しました。これが新しいマンホール 蓋の要求性能です。 ――要求性能の検証内容、試験について詳し く教えてください。 1)防食性能 錆びの抑制を検証 要件としては「30年の期間、防食性能を有 すること」で、試験条件は、日本下水道協会 のマニュアル「下水道用鋳鉄製マンホール蓋」 (JSWAS G-4-2023)に準じつつ、30年という 要件設定をしました。 試験は大きく2つあります。 試験1:塗膜や表面処理の評価 まず、塗膜や表面処理について、腐食環境 Ⅲ類相当の環境下で30年間錆びずに防食性能 を有するかを検証します(Ⅲ類:下水道管き ょの腐食環境の分類。厳しい順にⅠ類、Ⅱ類、 Ⅲ類で、Ⅲ類は調査箇所の95%程度)。 試験方法は、硫酸水溶液pH1に72日間浸漬 させることで30年相当経過としました。過去 のある研究で、pH1×浸漬36日間=15年相当 というデータに基づいています。 試験2:蓋に傷がある状態の評価 もう一つは蓋に傷がある状態での検証です。 維持管理面で、マンホール蓋の開閉作業時に 傷がつくことを想定して、傷がついた状態で も、従来の一般塗装との対比で錆びづらいこ とを要件に設定しています。 傷をつけない試験では、赤錆びが発生して いないことを確認しています。 傷をつける試験では、標準的な一般塗装と の比較になりますが、鉄イオンの溶出量を測 定して、その量が一般塗装の半分以下である ことを確認します。その結果、実力値として は、防食表面処理が施されていれば、ほとん ど錆びは進行しないことが確認されました。 2)耐がたつき性能 目標性能と試験方法――輪荷重走行試験で 30年相当=103万回の走行に耐える 大型車が1日3000台、30年間繰り返し走行 しても、がたつき音がしないこと等を要件に しました。 荷重が繰り返しかかってくると、蓋枠の接 触面が摩耗して、動きが大きくなって最終的 にがたつきに至るので、この大型車の交通量 を想定したような試験を行います。輪荷重走 行試験機を用いて、30年相当となる103万回 の走行試験を行いました。結果103万回を経 Close UP 新たな性能規定 標準耐用年数の2倍の耐久性と防食性能
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