19 2025 vol.14 G&U マンホール蓋のVEによる製品・サービス価値の最大化へ すね。 以前の技術マニュアルでも、事後保全では なく予防保全的な対応、「ストックマネジメ ント」の考え方は示されてきましたが、当時 はまだ15年性能でした。しかし、今回の技術 マニュアルに沿って、30年保証の試験をパス した蓋が使えるようになりました。「30年性 能」になることで、ライフサイクルが2倍に 延びれば当然、コストや労力の負担もうんと 軽減できますから、これは大きな前進と言え ます。 もちろん、30年性能の蓋とはいえ、メンテ ナンスフリーというわけではありません。性 能の良いもの、耐久性の高いものを導入する だけでは意味はなく、それを適正に管理・運 用して初めて価値が生かされます。 たとえば、30年性能の蓋を採用するのを機 に、きちんと管理台帳に記載する、台帳とは 別に蓋の管理用データベースを用意するとい うような取り組みが、限られた人手や予算の 有効な使い道です。蓋ごとの劣化の進み具合 も場所により異なりますので、法定で決まっ ているマンホール本体の点検の際に、一緒に 蓋の状態も確認するよう決めるなどして、定 期的に状態の把握に努めてもらいたいと思い ます。個々の蓋があと何年くらい使えそうか、 およその目安をつかんでいれば、交換に必要 な予算も計画的、長期的に準備できます。ま た、点検時に不具合が見つかれば、部品交換 で対応することなどで長寿命化が図れますの で、全体的なライフサイクルコスト(LCC)は 相当低減されるでしょう。 最低限のLCCで必要な機能を確実に達成 マンホール蓋におけるVE 最低限のLCCで必要な機能を確実に達成す ること、 これが「バリューエンジニアリング (VE)」の考え方の基本です。下水道を管理す る市町村の財政は、今後ますます厳しさを増 すことが目に見えています。少しでも余裕が あるうちに、耐久性の高い蓋に交換して長寿 命化しておく方が、結果的にLCCは低減され ます。自治体職員の方には、「安ければ助かる」 という目先のやり繰りにとらわれず、ストッ ク全体の将来的な管理・運用まで見渡した、 いわゆる「アセットマネジメント」のレベル までコスト意識を高めてもらわなければなら ない時代になっていると思います。 バリューエンジニアリング(VE)とは バリューエンジニアリング(VE)には5つ の原則があります。それは、 1.使用者優先 の原則、2.機能本位の原則、3.創造によ る変更の原則、4.チーム・デザインの原則、 5.価値向上の原則――です。 「VE」は1947年にアメリカの技術者ローレ ンス・D・マイルズが開発し、1960年頃わが国 に導入されました。VEの定義は、日本バリュ ー・エンジニアリング協会によれば「製品やサ ービスの『価値』を、それが果たすべき『機能』 とそのためにかける『コスト』との関係で把握 し、システム化された手順によって『価値』の 向上をはかる手法」です。商品やサービスの 「価値」を、その「機能」と「コスト」の関係で表 し、価値を向上させることを目的とするもの で、 価値は以下のような式で表されます。 価値(Value)=機能(Function)/コスト(Cost) 同じ価格なら性能のよいものを、 同じ性能 ならば価格の安いものを、 というのがVEの 本質だろうと思っています。もちろん、 価格 が安くて性能が高いものが目指すところです。 マンホール蓋のLCCを評価する上で、 また、 マンホール蓋の「アセットマネジメント」に 対する意識の向上のために、 このVEの考え 方は合理的かつ重要なポイントであると思わ れます。是非、この「新世代型のマンホール蓋」 の技術マニュアルを活用していただき、アセ ットマネジメントの実践につなげていただき たいものと希望する次第です。
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