18 2025 vol.14 G&U Close UP 新たな性能規定 標準耐用年数の2倍の耐久性と防食性能 (公財)日本下水道新技術機構は「アセット マネジメントの実践に向けた次世代型マンホ ール蓋の技術マニュアル」(2024年6月)を先 ごろ発刊しました。これは、「新次世代型」と してマンホール蓋の設計供用期間を従来の 15年から2倍の30年へと長寿命化するため の要求性能を規定するとともに、その実装に よりライフサイクルコストの低減、さらには アセットマネジメントの実践を促すための指 針です。この新マニュアル策定に際し、審議 を主導した「管路技術共同研究委員会」で委 員長を務める小泉淳・早稲田大学名誉教授に、 そのポイントや期待される効果をお聞きしま した。 マンホール蓋の「30年性能」を規定 新技術マニュアル発刊に寄せる期待 2007年発刊の技術マニュアル「次世代型マ ンホールふたおよび上部壁技術マニュアル」 では、15年という法定の耐用年限に従い、設 計供用期間を15年とした次世代型マンホール 蓋の性能規定を定めました。 これをさらに2倍の「30年で限界状態に達 する」という前提で、どのような機能、性能 が求められるかの基準を設けるとともに、そ の基準を満足しているか確認する試験方法を まとめたのが、今回発刊した「新次世代型」の 技術マニュアルです。安全性や維持管理性を 確保しつつ30年間の使用を保証するため、が たつきや食い込み、跳ね上がりを防止する性 能、一般的な腐食環境下でも発錆しない防食 性能などを、新たな要求性能として規定して います。 中でも蓋の腐食は、受枠との固着による開 放性能の低下、破損や強度低下などの要因に もなりますから、蓋の長寿命化をめざす上で 防食性能の向上は大きなポイントです。今回 設けた試験方法では、30年相当の高濃度の硫 酸に、鋭利な傷をつけたテストピースを浸漬 し、一定量以上の腐食が確認されないことを、 防食性能を満たす一つの目安としています。 今でも場所に応じて防食仕様のマンホール蓋 が使われている場合もありますが、すべての 蓋がしっかり防食されるようになれば、状況 は大きく変わってくるでしょう。 ただ現状では、錠や蝶番などは30年経つ前 に錆びついて動かなくなることもあると思い ます。そのため本マニュアルでは、蓋全体を 丸ごと替えなくても機能回復できるよう、機 能部品は取り外して適宜交換できる構造のも のを求めています。 このように、いくつもの規定を新たに盛り 込みましたが、この「30年性能」は一部のメー カーさんにとっては既成の技術でもあります。 ですから、他の多くのメーカーさんも、努力 して要求性能基準をクリアするための一つの 指針としてほしい、という点もこの新技術マ ニュアルの主眼であると思います。 長寿命化によりLCCは大きく低減 アセットマネジメントの意識醸成を これまではマンホール蓋の設計供用年数を 15年としていましたが、設置された環境によ っては15年も保たずに老朽化してダメになる 蓋もあります。しかも、ある時点で一斉に交 換するのだろうと私は思っていましたが、実 際には個々に交換しているようですし、対応 が間に合わず交換していない蓋も多いそうで マンホール蓋の V バリューエンジニアリング Eによる 製品・サービス価値の最大化へ 早稲田大学 名誉教授 小泉 淳 氏
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