16 2025 vol.14 G&U Prologue 下水道事業とマンホール蓋における課題 「安全対策優先箇所リスクマトリクス(例)」で す(図2)。 横軸の項目には、被災した場合の影響度の 大きさを考慮するため、管路が布設された道 路の規格や交通量を設定しました。縦軸の「満 管になりやすさ」は、要するに雨を受け入れ る能力です。管径が小さい箇所はもちろん、 管路が急勾配からなだらかに変化する箇所な どは水面が上昇しやすく、満管になりやすい と言えます。 マトリクス内には数字が振ってあり、大き いほどリスクが高くなります。赤線枠内の場 合は「安全対策優先箇所」と判定され、数字の 大きい順に対策の検討が推奨されます。 安全対策検討フロー図(案)は、簡易判定表 とリスクマトリクスを使った対策検討のフロ ーを示したものです。手順としては、簡易判 定表と流出解析で対策の要・不要を判定した 後、リスクマトリクスで優先箇所に当たるか どうかを判断します。「Yes」の場合は蓋の種 類の判定に進むのですが、ポイントは「マン ホール内の空気圧を水密性能以下に抑えられ るかどうか」で、圧力解放蓋で抑えられるな ら圧力解放蓋、上回ってしまう場合は格子蓋、 なお上回るようなら排気口を設置する、とい うフローになっています。 結果が圧力解放蓋となった際の注意点とし て、大型車両の通行が見込まれる場合は次世 代型圧力解放蓋を採用することが望まれます。 対象としては、食い込み過剰とがたつきの両 方が懸念される、交通量の多い幹線道路のマ ンホールなどを想定しています。 設置数・年度と事故状況を調査中 ――そのような安全対策の検討を経て、現在 はどのような取り組みを進めていますか。 令和6年度から、マンホール蓋に関する全 国規模の実態調査を行っています。マンホー ルの設置数は約1600万基と言われているので すが(管路総延長49万km/マンホール間隔 11 16 20 23 25 7 13 18 22 24 4 9 15 19 21 2 6 10 14 17 1 3 5 8 12 その他 緊急輸送 路等 鉄道横断 被害規模(影響度) 緊急輸送 路(2次) 緊急輸送 路(1次) 高い 低い 低い 高い 図2 安全対策優先箇所リスクマトリクス(例) 対策不要箇所 対策不要箇所 将来対策箇所 格子蓋に交換 圧力解放蓋※ に交換 適宜蓋を交換し、 排気口を設置 スタート ※大型車両の通行が見込まれる場合は、 次世代型圧力解放蓋 危険度簡易判定表 流出解析 安全対策優先箇所リスクマトリクス Yes Yes Yes Yes Yes No No No No No 危険箇所 であるか マンホール内 空気圧が 0.05MPa を 上回るか 安全対策優先 箇所であるか 圧力解放蓋に交換した 場合のマンホール内空気圧が 0.05MPaを上回るか 格子蓋に交換した 場合のマンホール内空気圧が 0.05MPaを上回るか 図3 マンホールの安全対策検討フロー図(案) (ピーク雨水流出量と管渠の等流流下能力との比) 満管になりやすさ
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