14 2025 vol.14 G&U Prologue 下水道事業とマンホール蓋における課題 全国で大雨が頻発する近年、下水道施設の 中でもマンホールが被害を受けるケースが目 立ちます。では、どんなマンホールが被災し、 いかに対策を考えていくべきなのでしょうか。 国土技術政策総合研究所が行った被害状況の 整理と安全対策のあり方の検討について、そ の後の取り組みを含めて安田将広下水道研究 室長にご紹介いただきました。 下水道被害の9割以上がマンホール ――まず、大雨に伴うマンホールの被害につ いて教えてください。 令和元年東日本台風(台風19号)での管路 被害の多発を踏まえ、国土技術政策総合研究 所ではその後、同年までの約10年間で大雨災 害に遭った68団体を対象としたアンケート調 査を実施しました。その結果、毎年のように 下水道の被害が発生し、特に東日本台風では 約90件の被害があったことが明らかになりま した。被害箇所の内訳を見ると、管きょは比 較的少なく、総数の9割以上をマンホールが 占めていました。 マンホールの被害は、排水能力を超える雨 水が下水道に流入し、内圧が上昇することで 生じます。特に大口径かつ延長が長い下水道 管きょは、大雨で急激に空気や水が押し込ま れると、強い衝撃圧がマンホールの内側にか かるのです。 主な被害はマンホール蓋の飛散、マンホール 周辺の舗装の破損/隆起、マンホールの浮上 /ずれの三つに分類でき、件数は舗装の破損 /隆起が最も多くなっています(図1)。浸入水 の影響と考えられますが、分流式汚水管のマン ホールにも被害が見られました。 被災した管路は大半が2000年以前に布設さ れたもので、それ以降のものは被害が少ない 傾向にありました。マンホール設置数の減少 もあると思いますが、日本下水道協会が策定 した「下水道マンホール安全対策の手引き (案)」が平成11(1999)年に周知され、圧力解 放蓋の設置が進んだ効果と考えられます。 大雨に伴う マンホール蓋の 被害状況と 安全対策の現在 安田 将広 氏 国土技術政策総合研究所 上下水道研究部 下水道研究室長 H21 台風18号 H23 台風15号 H25 台風26号 H26 台風8号・前線 H26 台風19号 H27 台風11号 H27.9 関東・東北豪雨 H28 台風9号 H28 前線・台風16号 H29 台風18号 H29 台風21号 H30 台風21号 R1 台風19号 0 20 40 60 80 100 マンホールの 浮上/ずれ マンホール周辺の 舗装破損/隆起 マンホール蓋の 飛散 60 40 20 0 図1 マンホールのみの被災件数(被害内容別) 平 受勾蓋配圧受力蓋密解閉放不蓋明無 回 答 平 受勾蓋配圧受力蓋密解閉放不蓋明無 回 答 平 受勾蓋配圧受力蓋密解閉放不蓋明無 回 答
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