G&U技術広報誌vol.13

6 2023 vol.13 G&U 危険があります。そこで圧送管の縦断データ と動水勾配等から、満流か非満流かを判定し、 非満流かつ内面モルタルライニングの箇所を 腐食の危険があるとして抽出します。これが ①の机上スクリーニングです。 続いて抽出した箇所は、空気弁から圧送管 専用のカメラを挿入して管内の調査を行い、 劣化度を判断、評価します。これが②の調査 技術で、専用カメラは管頂側約180度の範囲 を撮影でき、空気弁(φ75mm)から挿入でき るほど小型な形状が特長です。 エポキシ樹脂粉体塗装の優位性にも言及 ガイドラインでは、ダクタイル鋳鉄管の管 内面防食方法として、エポキシ樹脂粉体塗装 の優位性についても言及しています。現在出 荷されているダクタイル鋳鉄管はエポキシ樹 脂粉体塗装が使用されたものが主流となって いると聞いていますが、これが調査によって 優れた防食性能を有していることが確認でき ました。 圧送管の中には、モルタルライニングによ る区間と、エポキシ樹脂粉体塗装による区間 が組み合わされている場合があります。モル タルライニングからエポキシ樹脂粉体塗装へ 変わる過渡期に布設されたものが多いようで す。こうした箇所を計6ヵ所調査した結果、 いずれも、モルタルライニング区間は激しく 腐食している一方で、エポキシ樹脂粉体塗装 区間は腐食が見られず健全でした。 加えて、自治体へのアンケート調査も行い ました。エポキシ樹脂粉体塗装の圧送管に関 しては、布設から23年以上経過しても腐食の 問題が全く発生していないという結果が得ら れました。 圧送管の腐食箇所の着実な点検を 民間の技術開発や創意工夫にも期待 下水道管理者に対しては、繰り返しになり ますが、圧送管などの腐食のおそれが大きい 箇所について適切な管理をお願いしたいと思 います。特に内面モルタルライニングのダク タイル鋳鉄管を使用する圧送管で、大規模な 陥没事故が複数発生しています。この内面モ ルタルライニングのダクタイル鋳鉄管は、平 成一桁台に布設された圧送管で使われている 例が多いようです。 8年前のことですが、私が京都府に出向し、 水環境対策課長を務めていたとき、所管の流 域下水道の圧送管で汚水噴出事故を経験して います。これも平成一桁台、平成5年度に布 ▲ 内面モルタルライニングが行われたダクタイル鋳鉄管の腐食状 況(圧送管圧力解放箇所。出典:国土交通省提供資料) ▲ガイド挿入式カメラを使った調査風景(出典:同上) ガイド カメラ ガイド挿入式カメラ 空気弁室 カメラヘッド部 ▲ 机上スクリーニングによる腐食危険推定箇所の抽出イメージ (出典:国土技術政策総合研究所記者発表資料) (空気弁) (空気弁) 流れ方向 圧送管路 動水こう配線 吐出し先 マンホール 流れ方向 動水時(ポンプ稼働時)の下水 静水時(ポンプ停止時)の下水 腐食危険推定箇所 A A P 動水こう配線

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz