G&U技術広報誌vol.13

5 2023 vol.13 G&U 業計画に主要な管渠(下水排除面積が20ha以 上の管渠)の点検を行うためのマンホール数 を記載することになっているのですが、その ためなのか、主要な管渠のみ点検すればよい と誤認している自治体があるようです。腐食 のおそれが大きい箇所は、主要な管渠に限ら ず、漏れがないよう5年に1回以上の点検を 確実に実施していただきたいと思います。 B-DASHで圧送管の調査技術を実証 机上で危険箇所を抽出し専用カメラで調査 これまで圧送管は「点検調査機材を入れる ための開口部がない」「基本的に常時満流」「1 スパンが数kmにおよぶ」などの構造上の特性 から、調査が困難で、時間計画保全とされて いました。しかし近年は、先述のとおり、内 面モルタルライニングのダクタイル鋳鉄管が 使用された圧送管路で、硫化水素に起因する 硫酸腐食によって漏水や道路陥没の事故が報 告されており、圧送管の維持管理においても 予防保全によるストックマネジメントが求め られています。 こうした状況を踏まえ国交省は、平成28年 度のB-DASHプロジェクトにおいて、「下水 圧送管路における硫化水素腐食箇所の効率的 な調査・診断技術に関する研究」を採択し、 平成30年3月にその実証研究の結果をガイド ラインとして取りまとめました。私はちょう ど国土技術政策総合研究所(国総研)の下水 道研究室長として、実証事業とガイドライン の取りまとめに関わっており、思い入れがあ る技術の1つです。 ガイドラインは、①机上スクリーニングに よる腐食危険推定箇所の抽出、②圧送管路の 空気弁から実際にカメラを挿入して行う管内 調査、の大きく2つの技術で構成されていま す。 技術の流れを説明します。圧送管などの嫌 気的な環境では、汚水中の硫酸塩が硫酸塩還 元細菌によって硫化水素に還元されます。硫 化水素はコンクリートの表面にある結露水や 飛沫などの水分に溶解し、好気的な条件のも とで硫黄酸化細菌によって酸化されることで 硫酸が生成されます。この硫酸がコンクリー トなどの腐食を引き起こす原因です。 このため満管で流れる圧送管では硫酸腐食 が発生しませんが、非満流箇所や圧送ポンプ の間欠運転によって空気が入る箇所は腐食の ▲腐食したマンホール蓋 ■ 令和3年度の点検結果(出典:令和3年度下 水道管路メンテナンス年報(国土交通省)) 異状なし 18,417箇所 93% 異状あり 1,457箇所 7% 異状なし 559.0 km 90% 異状あり 60.9 km 10% マンホールの点検結果 管渠の点検結果 点検実施数 マンホール 19,874箇所 点検実施数 管渠 620km ■ 令和3年度に「緊急度Ⅰ」と判定された 管渠の対策状況(出典:同上) R3対策済 0.1km 5% R4 0.1km 2% R5~ 2.7km 93% 緊急度Ⅰ 2.9km

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