33 2023 vol.13 G&U づき、防食蓋の新設箇所を決めています。こ れに加え、維持管理業務を通じてマンホール 蓋の腐食が判明した場合にも、防食蓋への取 り替えを行っています。 「硫化水素の影響が特に大きいのは、やは り圧送管の吐出し先です。また、維持管理を 通じて、勾配が急で下水が勢いよく流れる斜 面や副管などで段差がある箇所、下水の合流 部で乱流が発生している箇所などでも腐食し やすいことがわかっており、こうしたところ にも防食蓋を設置しています」 ただ、腐食しやすい場所の特定や、その影 響が及ぶ範囲を事前に正確に予測することは 難しく、腐食が判明してから防食蓋に交換す る、いわば後追いの対策にならざるを得ない という課題もあるようです。 防食蓋の設置で取り替え頻度が減少 G-4改正で防食性能の確認が容易に マンホール蓋が腐食すると、蓋と受枠が固 着して開かなくなる、浮上防止用の錠の動き が悪くなるといった不具合が生じます。防食 蓋への取り替えではこれらが改善され、一般 的な蓋より寿命が長くなるという効果も期待 されます。 「設置環境にもよりますが、体感的には一 般的な蓋より2倍くらい長持ちしており、取 り替え頻度が減少しています」 さまざまな効果が期待される防食蓋ですが、 これまでは性能に関する公的な基準がない状 態でした。こうした中で今年5月、日本下水 道協会規格の「下水道用鋳鉄製マンホール蓋」 (G-4)が改正され、防食性能が初めて規定化 されることとなりました。 「本市では従来、防食蓋の性能を確認する ため、腐食環境下におけるフィールド試験を 行ってきましたが、今後はG-4を満たしてい ることも確認していきます。防食の方法は各 メーカーで異なりますので、たとえばG-4が 下水道新技術機構の審査証明などで活用され ると、より防食性能を確認しやすくなり、採 用も進むのではと期待しています」 課題はマンホール蓋の情報管理 佐世保市が今後の課題として挙げたのは、 マンホール蓋の情報管理です。 「マンホールの躯体と蓋は、耐用年数など 異なる面が多く、本来は別々に情報管理すべ きですが、下水道台帳では蓋はマンホールの 一部という扱いになっています。蓋に関して は、平受け、急勾配受けといった基本的な種 別で整理してはいるものの、詳しい項目はカ バーできていない状況です。ただ、あまり細 かく項目分けしても管理しきれなくなってし まいます。なるべく簡略化した上で、さらに 『このタイプの蓋はこの性能がある』『こうい う状態になったら交換』といったことが、簡 便にわかる仕組みがあると便利ですので、そ のあたりはメーカーさんにもご協力いただき たいと思っています」 ▲一般のマンホール蓋(上)と防食蓋の腐食状況の違い
RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz