G&U技術広報誌vol.13

32 2023 vol.13 G&U Close UP Part 3 下水道管路の腐食実態調査と防食対策事例 坂道が多い地形的条件から、急勾配の管渠の 近くや圧送管の吐出し先などを中心に防食蓋 を数多く採用している長崎県佐世保市。同市 水道局の下水道事業課下水道維持係に、防食 蓋を採用した経緯や設置後の効果などをお聞 きしました。 腐食リスクの高い箇所を優先的に調査 佐世保市では平成27年度以降、長寿命化計 画とストックマネジメント計画に基づき、管 渠やマンホール蓋の維持管理を推進していま す。管路は布設後50年以上経過した陶管、ヒ ューム管を対象に年平均5.3kmを調査してお り、これに伴いマンホールと蓋の調査を主に 目視により行っています。また伏せ越しマン ホールは、年1~2回程度の頻度で清掃を行 っています。 さらに、下水道法の維持修繕基準に基づき、 腐食のおそれが大きい管路施設(圧送管の吐 出し口など)の点検を行い、腐食影響による 劣化が確認された箇所については、おおむね 腐食対策が完了しています。 市内のマンホール数は約4万3000ヵ所です。 この約5%が、硫化水素が発生しやすい場所 に設置されています。長寿命化計画策定当時 は、硫化水素が発生しやすく腐食リスクの高 い箇所の管路調査を行い、併せてマンホール の調査も行っていました。現在は腐食対策が おおむね完了したことから、老朽化対策をメ インとして管路調査を、併せてマンホールの 調査も行っています。腐食リスクの高い箇所 は点検で対応している状況です。調査数は概 算で年平均260ヵ所。令和3年度の調査実績 は350ヵ所でした。点検済みのマンホール数 は1014ヵ所です。 H15から防食蓋を採用し170ヵ所に設置 「手引き」と維持管理で設置箇所を選定 管路施設の改築更新事業に関しては、平成 7年度に管渠の更生工事に着手し、これまで に合計約21kmを施工しています。一方、マ ンホールについては平成15年度に更生工事に 着手し、これと併せて、腐食した蓋の防食蓋 への取り替えを開始しました。これまでに約 170ヵ所、防食蓋を設置しています。 現在は『下水道管路施設ストックマネジメ ントの手引き』((公社)日本下水道協会)に基 ▲防食蓋の設置状況 ▲佐世保市水道局 下水道事業課 下水道維持係 ( 左から)森田浩一氏、眞浦正広課長補佐兼下水道維持係長、石場 良一下水道維持係長 設置環境のリスクに応じた 防食蓋の設置事例 長崎県佐世保市

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