G&U技術広報誌vol.13

Close UP Part 2 鉄蓋の腐食メカニズムと金属材料の防食技術 28 2023 vol.13 G&U 接続する「流電陽極法」です。亜鉛などを被防 食体の代わりに錆びさせることで、腐食を防 ぎます。もう一つは「外部電源法」で、こちら は外部から電流を与えることで腐食を防ぐ技 術です。 ――分野別・環境別に見た、防食技術の適用 状況を教えてください。 分野別に見ると、道路橋では一部金属被覆 も行われますが、塗装による防食が多いです ね。鉄塔では、溶融亜鉛めっきが主として使 われています。鉄塔は細かな部材が多いため、 効率的に防錆処理が行えることから、溶融亜 鉛の浸漬方式がとられています。 水道管の場合は、材料置換として、ステン レス鋼管や樹脂管が使われてきています。ス テンレス鋼管は、長寿命化や施工省力化、軽 量化を目的として鋼管に代わり使用されてい ます。一方、マンションや戸建て住宅の新築 やリニューアル工事などでは、施工のしやす さや耐震性、耐久性などから、給水管に樹脂 管が採用されるようになっています。 一方、環境別に見てみると、土壌中ではラ イニングや電気防食、海水中では電気防食が 多く使われています。電気防食で使われる金 属は亜鉛が主流で、そのほかにマグネシウム とアルミニウムも実用化されています。海水 では亜鉛、淡水だとアルミニウム、土壌では マグネシウムが一般的です。マグネシウムは 腐食しやすい金属の代表で、たとえば鉄を地 中に埋め込んだら、その周りにマグネシウム を置いておくという腐食対策もよく行われて います。 マンホール蓋は塗装による被覆防食を 腐食した金属材料の現場での再塗装は困難 ――金属材料が用いられているマンホール蓋 には、どのような防食技術が適していると考 えられますか。 マンホール蓋の防食には、比較的作業のし やすい「塗装」が適していると考えられます。 ただ、下水道環境は硫化水素の影響を受ける 過酷な環境であるため、亜鉛などを使っても 腐食してしまうことになります。 塗装には、目的に応じてさまざまな方法が あります。たとえば自動車の塗装では、溶融 亜鉛めっきと同様の合金化溶融亜鉛めっき被 膜を下地に、化成処理後に焼き付け型塗料で 塗装し、最後にクリヤー被膜でコーティング することでトータル100μm程度の塗膜厚で 保持します。 また、一般環境における道路橋では、常乾 型形塗装が適用されます。塗膜には目に見え ない層を透過する道(ピンホール)ができや すいため、下塗り、中塗り、上塗りに分けて 塗装します。下塗りには塗料の付着性を高め、 ■金属材料における防食技術 防食技術 原理 被覆防食 被防食体を被覆し、周囲の環境か ら遮断する方法。金属被覆(めっ き、溶射など)と非金属被覆(塗装、 ライニングなど)がある。なお、金属 被覆には、犠牲防食効果(溶射金属 材料が母材よりも優先的に腐食す ることで、母材の腐食を遅らせて 保護する効果)が期待できる金属 がある 材料置換 被防食体の材料を、耐食性の高い 別の材料に置き換える方法 電気防食 被防食体より錆びやすい金属を接 続する「流電陽極法」、外部から電 流を与えることで腐食を防ぐ「外 部電源法」などがある インヒビター 気化性防錆剤や水溶性防錆剤で被 防食体を被覆し、周囲の環境から 遮断する方法。気化性防錆剤は空 気中に充満し、空気中の水分が被 防食体と反応することも防ぐ ■分野別の防食技術 分野 主な防食技術 道路橋 塗装 鉄塔 溶融亜鉛めっき 水道管 材料置換 ■環境別の防食技術 環境 主な防食技術 土壌中 ライニングや電気防食 海水中 電気防食

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