G&U技術広報誌vol.13

Close UP Part 2 鉄蓋の腐食メカニズムと金属材料の防食技術 26 2023 vol.13 G&U 高度経済成長期に集中的に整備された日本の 社会インフラでは、耐用年数を超過した施設 の割合が急速に増えており、老朽化への対応 が求められています。こうした中、インフラ に用いられることの多い、金属材料の腐食対 策も重要な課題です。(一社)日本防錆技術協 会の齊藤宏専務理事に、金属材料における腐 食の現状や課題、防食技術の概要や適性など を伺いました。 「防錆技術学校」で防錆管理士の養成を担う ――まず、日本防錆技術協会の概要や取り組 みに関するご紹介をお願いします。 日本防錆技術協会は、防錆防食技術の向上 と普及を目的として、昭和32年に設立された 経済産業省(設立当時は通産省)の外郭団体 です。協会のスタートは、輸出がきっかけに なっています。ミシンなどを輸出する際に塩 害や結露による錆が問題になり、それをどの ようにして防げばよいのか、包装やパッケー ジによる対策を考えるところから始まりました。 昭和36年には人材育成のため「防錆技術学 校」を開校し、今年で第63回を数えます。受 講生は累計約2万1000人で、このうち令和5 年3月現在、1万6426人が防錆管理士の資格 を取得しています。このほかの協会活動とし ては、月刊技術誌『防錆管理』の発行や「防錆 防食技術発表大会」の開催などがあります。 また会員相互の技術向上を目的とした「専門 部会」では、さまざまな調査研究活動を実施 しています。JISやISOなど、防錆防食に関す る規格の原案作成といった標準化事業にも取 り組んできました。 鋼道路橋では腐食による損傷が深刻化 機能不全に陥り、通行規制の引き金に ――金属材料を用いたインフラにおける、腐 食に起因した損傷事例を教えてください。 金属材料を用いたインフラとして代表的な 道路橋(鋼道路橋)は、高度経済成長期に集中 的に整備されました。2010年ごろから耐用年 数50年を超過したものが急速に増加しており、 2030年代にはその割合が全体の5割以上を占 一般社団法人日本防錆技術協会 専務理事/事務局長 齊藤 宏 氏 金属材料における 防食技術

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