G&U技術広報誌vol.13

Close UP Part 2 鉄蓋の腐食メカニズムと金属材料の防食技術 20 2023 vol.13 G&U 蓋の腐食対策の代表的な方法として塗装が あります。エポキシ系樹脂などで被覆した「防 食蓋」という製品もすでに普及しています。 1年目の基礎試験では、未塗装の鋳鉄片やマ ンホール蓋を使いましたが、これからは塗装 も含めた実験に発展させていきます。塗装の クオリティを上げ防食性能を高度化すること で固着の問題をクリアすることを、将来的な 目標として取り組んでいく考えです。 情報の収集・蓄積と活用で管理効率化を ――最後に、地方公共団体や管理会社の方々 にメッセージをいただけますか。 マンホールは非常に数が多く、管理される 自治体の皆様はたいへんなご苦労をされてい ます。さらに、近年は台風や豪雨などの自然 災害も頻発するようになり、状況がますます 悪化する一方、人的リソースも激減していま すから、より広域的にマンホールを管理して いけるよう、劣化状態なども含めて関連する 情報や知見を蓄積していくことが重要だと考 えます。 AIに代表されるように、情報をうまく管理 して解析する技術は急速に発展してきていま す。そのような技術を駆使して、必要な情報 を蓄積し活用すれば、差し迫った問題点を効 率的に洗い出すこともできるでしょう。「数 が多いもの」を将来にわたり管理していく上 で、IT技術などは情報収集を極めて効率化で きる非常に有効なツールです。ただ、情報は 統一的なフォーマット、同じ情報レベルで蓄 積しなければ高度なAI解析を行うことが難 しくなりますのでまずは情報の整理収集や蓄 積の方法をどうするか、しっかり検討してお く必要があります。それが今後の管理効率化 につながりますから、ぜひ力を入れてもらい たいポイントです。その上で、蓄積した情報 を上手に活用されることを期待します。我々 としても、そのようなメンテナンスや管理の 現場で役立ててもらえる指標などを提示でき るのであれば、大きなやり甲斐を感じます。 P R O F I L E【おかざき・しんじ】 平成5年横浜国立大学工学研究科物質工学修士課程(博士前期課 程)修了。平成16年博士(工学)取得(横浜国立大学)。平成27年よ り現職。

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