Introduction 2 2023 vol.13 G&U 近年、金属材質の下水道管路の腐食に起因 する道路陥没が増えています。なかでも、ダ クタイル鋳鉄管を用いた圧送管の腐食は大規 模な事故につながる可能性があり、対策が求 められています。こうした背景から国土交通 省では、平成27年度の法改正で維持修繕基準 を創設し、腐食のおそれの大きい箇所の法定 点検を義務づけるとともに、28年度には下水 道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェク ト)で圧送管調査技術の実証を行うなどして います。 同省水管理・国土保全局下水道部下水道事 業課の岩﨑宏和・事業マネジメント推進室長 に、下水道管路の腐食の問題と、その対策に ついてご解説いただきました。 大規模陥没事故につながる圧送管の腐食 令和4年度には2件の事故が発生 令和3年度末時点で、全国の下水道管路の 総延長は49万kmにのぼっています。一方で 老朽化も進行しており、3年度には下水道管 路の不具合に起因した陥没事故が約2700件発 生しています。大半は深さ50cm程度の浅い ものですが、大規模な陥没事故も含まれてい ます。約2700件の内訳は、取付管由来が約 1700件と6割を占め、圧送管を除く本管由来 が約500件、人孔由来が118件、圧送管由来が 8件です。 圧送管は件数こそ多くないですが、大規模 な陥没事故につながる可能性があります。国 交省では下水道管理者に対し、人身事故など、 報道につながるような大規模な陥没事故が発 生した場合は報告するよう求めています。令 和4年度は9件の陥没事故報告があり、この うち2件は圧送管由来のものでした。 1件目は6月にS県の流域下水道で起こっ た事故です。偶然にもG&U技術研究センタ ーのすぐ近くなのですが、国道の歩道でダク タイル鋳鉄管の圧送管、口径500mmが硫化 水素に起因して腐食し、直径約1.5m、深さ約 3mの道路陥没が発生しました。人身事故も 起き、自転車で信号待ちをしていた男性が穴 に落下して怪我を負いました。この圧送管は、 下水道管路 における 金属材料の腐食の 問題と対策 岩﨑 宏和 氏 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部 下水道事業課 事業マネジメント推進室長
RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz