Close UP Part 1 下水道用マンホール蓋規格改正「JSWAS G-4-2023」 14 2023 vol.13 G&U 専用の治具で開閉を想定した傷を付ける ―使用環境を想定した「参考試験」の方法 についてご説明をお願いします。 マンホール蓋の防食性能を評価する上では、 表面処理だけを対象とすると不十分となって しまい、やはり開閉に伴う磨耗傷の影響も考 慮することが不可欠です。しかし、実際に蓋 を開閉して傷を付けることは負担が大きいで すし、作業者によってバラつきも出てしまい ます。 そこで今回の改正に合わせては、防食表面 処理を施した供試体に開閉を想定した傷を付 ける、専用の治具を考案しました。 供試体に傷を付ける試験荷重は30㎏として います。一般的なマンホール蓋(耐荷重25t) の重量は40㎏で、蝶番に生じる荷重はその半 分の20㎏です。これに引っ掛かりなどの衝撃 を勘案して安全率1.5倍を乗じ、30㎏と設定し ました。また、傷を付ける回数は10回として います。これは、『下水道維持管理指針』((公 社)日本下水道協会)で示された「マンホール 蓋の巡視及び点検頻度の設定例」を参考に設 定しました。 鉄イオン量の評価には、「比色法」が採用さ れました。水溶液中に試験紙を入れ、変化し た色で鉄イオン濃度を簡便に測定できる方法 です。なお、供試体を浸漬する硫酸水溶液の 濃度は本編試験ではpH1ですが、参考試験で はpH3という設定です。pH1はかなりの強酸 のため赤錆が溶け出してしまい、赤錆の発生 状況の確認が困難になります。pH1だと溶出 する鉄イオン濃度の高くなり過ぎ、判定誤差 が大きくなるというデメリットもあるため、 参考試験ではpH3の硫酸水溶液を試験条件と しています。 ▲ 荷重を負荷し、供試体をスライド(出典:G-4) ▲傷を付けた供試体(出典:同) ■防食表面処理の試験結果(出典:同) 項目 一般塗装 防食表面処理 目視による 赤錆の確認 赤錆発生 赤錆なし 鉄イオン量 (mg)の測定 電着塗装 45 犠牲防食1 0.2 犠牲防食2 3.2 粉体塗装 40 樹脂 コーティング 0 ■30日浸漬後の鉄イオン量の測定結果 (G-4掲載データより作成) 防食表面処理 犠牲防食2 防食表面処理 犠牲防食1 防食表面処理 樹脂コーティング 一般塗装 粉体塗装 一般塗装 電着塗装 45mg 0mg 40mg 0.2mg 3.2mg
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