G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

31 2022 vol.12 G&U 査、現地踏査や検証試験の結果をもとに考え方や 留意事項について整理しました。 ストマネに必要な情報管理項目 ――MH蓋の情報項目について教えてください。 マニュアルでは、マンホール蓋のストックマネ ジメントを実施する際に必要となる情報管理項目 を、①仕様(呼び径、材質、支持構造、マンホール 蓋のタイプ等)、②設置箇所(設置箇所によるリス クの有無)、③性能(リスクのある設置箇所におい てマンホール蓋が備えるべき性能の有無)、④維 持管理情報(維持管理方法、点検・調査の結果、 修繕履歴等)、⑤建設時および改良時の情報(設置 履歴、改築履歴等)に区分し、具体的な管理項目 を示しました。 「特にマンホール蓋はタイプによって有する性 能項目が異なるため、事業体においては、まず、 どのタイプのマンホール蓋がどこに設置されてい るか、どういう性能を有しているかを把握するこ とが重要です。施設情報の収集と整理を効率的に 行う手段としては、『マンホール蓋の変遷表』を 作成し、活用することを推奨しています」 なお(公社)日本下水道協会が令和3年9月、「下 水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手 引きⅤer.5」を発刊し、下水道台帳に蓄積すべき情 ■表1 リスク環境に応じた設置基準と適合性 (マニュアル p.81「表資1-1 設置基準に基づくマンホールふたの適合性」より) 【凡例】 性能項目:●基本性能:全ての環境で必要な性能 ○付加性能:特定の環境で必要な性能 対策区分:■該当 -該当なし 適合性:◎耐久性評価あり △定性的基準 ○定量的基準(性能数値規定) ※特殊製品 リスク 性能項目 対策区分 適合性 リスク環 境レベル 対象箇所 G4 本マニ ュアル 合流 汚水 雨水 G4準拠 次世代型マニ ュアル準拠 蓋の破損 区分なし ・T-25:車道幅員を5.5m以上の道路 ・ T-14:歩道又は大型車の通行の少な い道路 ・T-8:歩道・宅地内等 荷重強さ ● ● ■ ■ ■ ○ ◎ 蓋と枠のがたつきに よる騒音や蓋飛散 区分なし 全て がたつき防止 ● ● ■ ■ ■ △ ◎ 蓋の開閉操作時に枠 から逸脱 区分なし 全て 逸脱防止性 ● ● ■ ■ ■ ○ ○ 不法投棄(汚水、汚泥、 廃棄物等) 区分なし 全て 不法開放防止性 ○ ● ■ ■ ■ △ ○ 2輪車による蓋上で のスリップ Ⅰ ・交差点及び交差点50m以内 ・縦断勾配6%以上の坂道 ・曲率半径100m以下のカーブ ・自転車専用レーン(車道) 耐スリップ性(車道) ― ○ ■ ■ ■ △ ◎ Ⅱ ・緊急輸送路 ・国県道 ・主要道 ■ ■ ■ 歩行者による蓋上で のスリップ Ⅰ ・坂道やスロープ等の傾斜がある箇所 ・歩道切り下げ部(車両乗り入れ部等) ・自転車専用レーン(歩道) 耐スリップ性(歩道) ― ○ ■ ■ ■ △ ○ Ⅱ ・児童の通学路 ・病院、高齢者施設等に繋がる歩道 ・バリアフリー計画に基づく対象エリア ■ ■ ■ 内圧発生による蓋飛 散 内圧安全性 Ⅰ 内圧発生リスクが高い箇所 大量排気性 ― ○ ■ ■ ■ △ ○ 外水位の影響懸念箇所(いっ水防止箇所) 耐圧性 ― ○ ■ ■ ■ ※ ※ Ⅱ 浸水想定区域において、大型車交通量の 多い車道 圧力解放耐揚圧性 ○ ○ ■ ■ ■ △ ○ 転落防止性 ○ ○ ■ ■ ■ ○ ○ Ⅲ 浸水想定区域 耐揚圧荷重強度 ○ ○ ■ ■ ■ ○ ○ 転落防止性 ○ ○ ■ ■ ■ ○ ○ 蓋の腐食による開閉 不能・がたつき・部 品脱落・蓋飛散 Ⅰ 下水道事業計画等に「腐食のおそれが大 きい施設として、5年に1回以上の点検 を行う箇所」と位置付けているマンホール、 および過去に管路施設が腐食した環境 防食性 ― ○ ■ ■ ■ △ △ Ⅱ リスク環境レベルⅠに隣接する箇所 ■ ■ ■ 除雪車による蓋への 衝突 区分なし 積雪の多い地域で除雪車によって除雪を 行う道路 除雪車対応性 ― ○ ■ ■ ■ ※ ※ 蓋上の融雪による段 差 区分なし 積雪地域で段差が発生した場合に歩行者 や車両の通行に支障が予測される箇所 断熱性 ― ○ ■ ■ ― ※ ※ 作業者の転落・落下 区分なし 維持管理時に安全確保が必要な場所 転落防止性 ○ ○ ■ ■ ■ ○ ○ 蓋の食い込みによる 開閉の阻害 区分なし 大型車交通量の多い車道 開放性 ― ○ ■ ■ ■ △ ◎ 蓋の開口部からの雨 水流入 区分なし ・浸水想定区域 ・ その他地形条件等により冠水する可能 性がある箇所 雨水流入防止性 ― ○ ― ■ ― △ (○) ※1: リスク環境について、事故の発生頻度や被害の大きさをレベ ル分けしたものをリスク環境レベルと定義した。リスク環境 レベルⅠがもっともリスクが高く、対策への優先度が高い ※2: マンホール蓋が設置される箇所のうち、マンホール蓋に起因 する事故等の事象が想定される箇所をリスク環境と定義した

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