G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

25 2022 vol.12 G&U CAPDサイクル実現にはリスク評価が重要に 劣化データベースは補完データとして活用 ――下水道管きょ劣化データベースの概要につい てご説明をお願いします。 下水道サービスの主が整備促進(普及率拡大) の時代は、施設整備計画および設計・工事を中心 としたPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクル のマネジメントが重要でした。しかし、下水道整 備が概成に近づく中、これからの下水道サービス の主が維持・改築(下水処理の維持向上)の時代 では、膨大なストックを適正に管理するために維 持管理および診断・評価を中心としたCAPD (Check-Action-Plan-Do)サイクルのマネジメン トが重要となります。このCAPDサイクルのマネ ジメントを実現するため には、維持管理情報等を しっかりと蓄積・分析し、 施設の状態やリスクを適 切に評価する必要があり ます。 このため、国総研下水 道研究室では、事業体か ら収集した下水道管内の TVカメラ調査結果の一 部(事業体種別、経過年数、 管種、管径、設置条件、 劣化および緊急度の判定 結果など)をデータベー ス化し、「下水道管きょ劣化データベース」(劣化 データベース)として公開しています。2021年6 月に更新した劣化データベースVer.3には、2017 年に公開したVer.2に約6万スパン分のデータを 追加し、計60団体約31万スパン分のデータを登録 しています。これまで登録したデータの総延長は 約8700kmで、これは全国の整備済み延長48万km の約1.8%に当たります。 劣化データベースは、この後説明する全国の健 全率予測式の元データとして活用されるとともに、 事業体が調査優先箇所や改築需要予測を検討する 際の補完データとして用いられています(図2)。 ▲図3:健全率予測式グラフ【鉄筋コンクリート管の場合】 ▲図2:下水道管きょ劣化データベースの活用イメージ 0.0 0.5 1.0 100 50 0 健全率 R(t) 経過年数(年) 緊急度Ⅲ 緊急度Ⅱ 劣化なし 緊急度Ⅰ 約10% 約40% 約30% 約20% 簡易な対応により必要な措置を 5 年未満まで延長できる場合 簡易な対応により必要な措置を 5 年以上まで延長できる場合 速やかに措置の必要な場合 緊急度の区分 重度 中度 軽度 健全 特別な措置を講じる必要がない 場合 区 分 緊急度Ⅱ 緊急度Ⅲ 劣化なし 緊急度Ⅰ 健全率予測式 経過年数 TV調査結果が無い/古い管きょが無い などの事業体において 検討に必要なデータを補完可能 構築 管 種 排除方式 etc.. 自前の 調査データ 劣化DBに よる補完 経過年数 劣化判定結果 (腐食・たるみなど) 管 径 健全率

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz