G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

24 2022 vol.12 G&U Close UP Part 3管路施設におけるデータの活用事例 下水道管きょは今後急速に老朽化が進行 陥没事故は近年減少もさらなるデータ分析を ――まずは近年の下水道管きょの劣化状況につい て教えてください。 2020年度末における全国の下水道管きょの総延 長は約49万kmです。そのうち標準耐用年数50年 を経過した管きょの延長は約2.5万km(総延長の 5%)であり、10年後には8.2万km(同16.7%)、20 年後には19万km(同38%)と今後急速に増加す ると見込まれています。 下水道に起因する道路陥没発生件数は近年、減 少傾向にあります。これは、2015年度の下水道法 改正で維持修繕基準が創設されたことや、2016年 度に創設された「ストックマネジメント支援制度」 をはじめとする施策により、事業体において下水 道管路の適切な修繕・改築が促されたことなどが 要因として考えられますが、引き続きデータを蓄 積し、詳細な分析や今後重点化すべき施策の検討 を行う必要があります(図1)。 下水道管きょ劣化データベースや 健全度予測式の活用 ―地方公共団体の管きょ劣化状況の予測を支援― 国土交通省 国土技術政策総合研究所 下水道研究部 下水道研究室 主任研究官 末久 正樹 氏 下水道管きょの急速な老朽化を見据え、国 土交通省では、下水道施設全体で優先順位 付けを行い、点検・調査、修繕・改築を実 施するストックマネジメントを推進してい ます。しかし事業体の中には、調査データ が乏しい、古い管きょがないといった理由 から、施設の現状評価が難しいケースもあ ります。国土技術政策総合研究所(国総研) では、ストックマネジメントに取り組むた めの補完的なツールとして「下水道管きょ 健全率予測式」と「劣化データベース」を 公開しています。国総研下水道研究部下水 道研究室の末久正樹主任研究官にこれらの 内容や活用方法などを伺いました。 Interview 4 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 陥没件数 年度 2020 年度 2,747 件 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 東日本大震災 約 1,500 件 熊本地震 鳥取県中部地震 約 1,300 件 ▲図1:下水道管路に起因した道路陥没件数

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