20 2022 vol.12 G&U Close UP Part 2台帳システムの構築に向けて 業務効率化やリスク管理、情報共有に効果 MH蓋の計画的なマネジメントにも期待 ――下水道台帳管理システムの導入効果、活用例 について教えてください。 1つは、トラブル発生時の初動対応の迅速化が 挙げられます。従来は大きな図面の冊子を探し出 し、トラブル箇所を確認する作業が発生していま した。システムを導入し管路台帳を見える化すれ ば、必要な図面をボタン1つで検索・印刷できる ので、トラブル対応の時間も大幅に短縮可能です。 施設情報や維持管理情報など、台帳情報の整理 という点では、計画策定の効率化といったマネジ メント業務の強化、事故リスクの軽減にもつなが ります。管の詰まりや臭い、そのほか不具合等の 情報をシステムに記録すれば、トラブルの傾向が 可視化され、計画や対策を立てやすくなります。 特に自治体の職員は数年おきに異動がありますか ら、システムを介した情報共有により引き継ぎに かかる労力も軽減できます。 次に情報の属人化の解消です。今の熟練職員の 方々は下水道を実際に整備してきたので、どこに どんな管が埋設されているか等、現場に関する知 識を豊富に有しています。しかしその方々が退職 してしまうと、それらの知識や経験がそこで途切 れてしまいます。これらをあらかじめシステムに 記録しておけば、職員全員が参照できる形で情報 を残すことが可能です。 システムの窓口への設置により、市民サービス の向上も見込めます。またHP上で台帳図を公開 することで開発業者等からの水洗化有無、公共ま す接続への対応など窓口担当職員の負担軽減にも なります。 ――マンホール蓋の情報管理の必要性については、 どのようにお考えですか。 蓋の管理は市民生活を守るうえで非常に大切な ことだと考えています。私がお世話になったある 市で、降雨時のウォーターハンマー(流入水によ る急激な管内圧力の上昇)でマンホール蓋が吹き 飛ぶ事故が発生したことがありました。実際の現 場写真を見ると、蓋が車の上に落下し、フロント ガラスが粉々に割れていました。一歩間違えれば 人命にかかわるような大事故になっていたかもし れません。蓋を計画的に更新してリスク管理をし ▲オンプレミス型とクラウド型(共通PF)の違い(出典:下水道共通プラットフォームあり方検討委員会報告書) ◆自前でシステムを構築するため、 ・システム調達にあたって専門的な知識が必要 ・初期投資としてシステム構築にかかる費用が必要 ・毎年、システムの保守管理が必要 ・故障時には修理の依頼と復旧まで一定の期間必要 ・OSのバージョンアップ時に相当の改修費が必要 ◆クラウドにより基本的なサービスを提供するため、 ・システム調達にあたって専門的な知識は不要 ・独自のシステム調達に比べ初期費用が安価 ・地方公共団体ごとのシステムの保守管理は不要 ・トラブル時には遠隔操作により早期の復旧可能 ・OSのバージョンアップに伴う地方公共団体の改修 は不要 ※ 多くの地方公共団体が共通PFを利用することで、 割り勘効果により費用を低減 オンプレミスの場合 共通 PF 利用 ➣すでに自前でシステムを構築している地方公共団 体も共通のPFを利用してバックアップや現場の 台帳確認で業務の効率化も A 地方公共団体 自前でシステムを構築 クラウド 下水管理システム D 地方公共団体 C 地方公共団体 B 地方公共団体
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