15 2022 vol.12 G&U と説明しています。これまでのように勘や職人技、 個別の知識に依存することなく、空間あるいはサ イバー上でデータの交換や取り扱い、改善が可能 になる。これがDXの最大の特長だと考えます。 「水道情報活用システム」の運用を開始 共通化・標準化によりデータの活用を推進 上下水道事業に共通する課題の解決に向けて DXの導入効果が期待されているのが、施設台帳 の整備ならびに電子化です。特に中小規模の事業 体で遅れている傾向があります。水道事業に関し ては、平成30年の改正水道法で施設台帳の整備・ 保管が義務化されました。猶予期間を経て令和4 年10月から本格的に適用されます。法改正当時は、 約1400の事業体のうち未電子化が2割強、さらに 5万人以下の事業体に絞ると4割強という状況で した。 下水道分野では、台帳電子化の促進などを目的 に「下水道共通プラットフォーム」構想が打ち出 されました。日本下水道協会が設置し、私も委員 の一人として参加した「下水道共通プラットフォ ームあり方検討委員会」の報告書が令和4年3月 に取りまとめられ、令和5年度の運用開始に向け 具体的な検討が進められています。 水道分野では、6年前からこうしたデータの共 通化・標準化に向けた動きがありました。「水道 情報活用システム」という、水道事業のハード・ ソフトに関するデータを横断的かつ柔軟に利活用 できる仕組みです。平成28~30年度に経済産業省 と厚生労働省が連携して実証事業を行い、事業体 やベンダーが参画してデータ流通のためのルール を検討し、システム間のデータ連携を可能とする 標準仕様を策定しました。そして、水道情報活用 システムの構成要素である「水道標準プラットフ ォーム」が令和2年度に運用開始しています。 水道情報活用システムは、令和4年2月時点で 18府県・37事業者で導入されており、27道府県・ 64事業者で導入が検討されている状況です。台帳 未整備団体が簡単に利用できる「簡易台帳アプリ ケーション」の標準搭載などにより、導入済みま たは導入検討中の事業体は年々増加しており、広 く認知されてきていると感じています。システム の標準仕様の管理などを目的に設置された「水道 情報活用システム標準仕様研究会」には、水道事 業体とともに、コンサルやメーカーなど44社の企 業(令和3年度末時点)も参加しています。 水道情報活用システムを導入する最大のメリッ トは、データの共通化・標準化により正確なデー タを把握できることです。これまで中山間地域や 離島を抱える事業体では正確なデータを把握する ことさえ困難でした。データを把握することで現 状分析も可能ですし、最適な計画の見直しなど将 ▲「水道情報活用システム」の利用イメージ(出典:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000717625.pdf) デバイス等 (ポンプ・センサー) ○○浄水場 アプリケーション (運転監視) アプリケーション (施設台帳) アプリケーション (需要予測) デバイス等 (水位・水質) ○○配水池 デバイス等 (水位・水質) ○○配水池 デバイス等 (ポンプ・センサー) ○○浄水場 デバイス等 (水位・水質) ○○監視所 水道標準プラットフォーム 【個別利用・共同利用が可能】 デバイス等 (水位・水質) ○○配水池 デバイス等 (水位・水質) ○○配水池 運転監視制御業務 監視室 水道施設台帳管理 事務所 水道施設台帳管理 水需要予測検討 運転監視制御業務 中央監視室 事務所 水道施設台帳管理 出張所 データ サーバー 外部サービス (地図情報等) 共同利用(必要なアプリケーションを選択) 【A A水道事業者】 【B水道事業者】
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