G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

11 2022 vol.12 G&U ラ分野におけるDXを定義しました。下水道部に おいても、これに基づいて、データ基盤整備など を推進するとともに、データとデジタル技術を徹 底活用し、業務そのものや組織、プロセスを変革 していきたいと考えています。 4つのアクションプランでデジタル化を推進 施設管理の高度化へデータ基盤整備に注力 ――新たに取りまとめたインフラ分野のDXにおけ る下水道事業の具体的取り組みを教えてください。 「行動」「知識・経験」「モノ」のデジタル化を 進めることが大きなテーマとなります。その実現 に向けては、4つの具体的なアクションプランを 掲げました。 まずは「行政手続きや暮らしにおけるサービス の変革」です。事例としては、窓口業務の非接触 化に貢献した「下水道施設・排水設備台帳の閲覧 申請電子化・閲覧のオンライン化」、下水道管の 水位情報を市民などに提供する「水位周知下水道」 などがあります。 次に「ロボット・AI等活用で人を支援し、現場 の安全性や効率性を向上」です。具体的な取り組 みとしては「AIを活用した水処理運転操作の先進 的支援技術」のほか、令和3年度から下水道浸水 被害軽減総合事業にて支援対象となった「樋門・ 樋管の操作遠隔化」等が挙げられます。 3つ目は「デジタルデータを活用し仕事のプロ セスや働き方を変革」です。これまで取り組んで きたBIM/CIMの推進が該当しますが、令和3年 度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェ クト)から取り組んでいる「監視制御システムの 互換手法構築による広域管理」も一例として挙げ られます。各社の監視制御システムに互換性を持 たせることで、広域的な管理を促進する効果があ るので、令和5年度のガイドライン策定をめざし て実証を進めているところです。 最後に「DXを支えるデータ活用環境の実現」で す。これはデジタル基盤の整理に向けた取り組み が該当します。今後、データを活用して効率的に 施設管理を行っていくためには、下水道施設台帳 の電子化が必要となります。中でも特に重要なの は、施設情報のほかに、点検・調査履歴や修繕履 歴などが記された維持管理情報です。それを明記 したのが平成29年度に策定した「新下水道ビジョ ン加速化戦略」です。この重点項目の一つとして、 維持管理を起点としたマネジメントを確立してい くことを掲げました。 これを契機に、令和元年度には管路施設、同2 年度には処理場・ポンプ場を対象とした維持管理 情報等を起点としたマネジメントサイクルのガイ ▲下水道事業におけるDXの推進(出典:国土交通省資料) 《下水道におけるDX》 ● 下水道事業が抱える課題や社会経済情勢の変化に伴う新たな要請への対応を見据え、データとデジタル技術 の活用基盤を構築し、さらにこれを徹底活用することで、業務そのものや、組織、プロセスを変革し、下水 道の持続と進化を実現させることにより、国民の安全で快適な生活を実現 • 排水設備計画届出等 の電子申請 • 管路施設情報のオン ライン閲覧 • 水害リスク情報等の提 供(内水ハザードマッ プ、水位周知等) • AIを活用した水処理運転技術 操作の最適化支援技術 • ICTを活用した下水道施設の劣 化状況把握・診断技術 •ドローンによる下水道施設の点 検支援技術 • 樋門操作の遠隔化等 • 下水道全国データベースの機能向上 • 下水道施設の維持管理情報を含めた標準仕様の策定 • 管路施設の台帳電子化促進に向けた共通プラットフォームの構築 • 下水道分野における BIM/CIMの促進 • 下水道施設広域管理 システムの開発 DXを支えるデータ活用環境の構築 業務プロセスや働き方 を変革 ICTやAI等を活用し、現場 の安全性や効率性を向上 行政手続き・サービスの 変革 知識・経験のデジタル化 行動のデジタル化 モノのデジタル化 管網の GIS 化・3 次元化モデル化 施設情報や管路内水位情報等をいつでも確認 オンラインによる現場支援 浸水シミュレーション

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz