G&U技術広報誌vol.12 「インフラメンテナンスを変えるDXの波」

21 2022 vol.12 G&U っかり行うには、やはり維持管理情報の蓄積が重 要だなと身にしみて感じています。 共通PFで電子化サービスを一括調達 人口減に向けた業務効率化推進のきっかけに ――「下水道共通プラットフォーム」の構築に向 けた取り組み状況についてご説明ください。 下水道政策研究委員会で示された共通PFの構 築について、当協会では昨年8月に「下水道共通 プラットフォームあり方検討委員会」を立ち上げ 4回にわたって議論を行い、この3月に報告書を 取りまとめました。 共通PFの役割は大きく分けて2つです。1つ は事業体向けのサービスとして、個々の電子台帳 サービスを一括調達する役割。次に、データを収 集・保管し、国や民間事業者等の機関へデータを 提供する役割です。 具体的な活用法は4つあります。まず未電子化 団体等において、電子化した管路データを共通 PFに保管することで、表示・検索等のサービス を利用することができます。割り勘効果で安価に 利用できるようにすることを想定しています。ク ラウドサービスにより自治体側でのシステム調達 やメンテナンスが不要で、台帳電子化のハードル を低くできると考えています。ここは当協会でも 最も重視している点です。2つ目は、保管データ を用いた災害時調査への活用です。災害発生時に 被災地に赴く支援団体に、現地の施設情報を提供 すれば、災害対応の迅速化などに結び付けられま す。3つ目は、民間事業者等によるアセットマネ ジメント支援等のサービスへの活用。4つ目は、 国や民間事業者による調査研究への活用です。 検討委員会では、共通PFの活用方法とそのた めに必要な機能・サービス、データの受け渡し手順、 今後の施策とロードマップを議論しました。今年 度は共通PFのサービスの構築、契約形態、ルール 作りを中心に取り組み、令和5年度の運用開始を 予定しています。併せて、災害支援時のデータ提 供についても準備を進めます。民間サービスへの 活用や調査研究への利活用は、データがある程度 集まってからの取り組みとなるので、令和6年度 頃から運用を開始する予定です。 ――共通PFのセキュリティについて教えてくだ さい。 今年4月に下水道管路データバンク(GPD)と 連携して構築を進めることで協定を締結しました。 GPDにおいて下水道情報管理のシステム提供や 台帳サービスの提供・保守などを担当する予定と しており、共通PF本体は、セキュリティ性の高い LGWAN-ASPの「アプリケーション及びコンテン ツサービス」として提供されることが見込まれて います。 ――最後に事業体にメッセージをお願いします。 今後20年で日本の生産年齢人口は2割減ると言 われています。私は鹿児島の小さな自治体の出身 ですが、小さな自治体ではより人口減少が進み、 中には5~6割と減るところも出てくると考えら れます。かといって、維持管理する下水道管の延 長が減るわけではありません。これから少ない人 数で効率的に業務を行うにはDXを進める必要が あり、台帳管理システムの手引きや共通PFがそ のきっかけとなればうれしいです。 P R O F I L E【どうぞの・ひろあき】 平成10年建設省入省。25年国土交通省水管理・国土保全局下水道部下 水道事業課課長補佐、27年岡山市下水道河川局統括審議官、29年国土 交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課企画専門官、31年熊 本市上下水道局技監、令和3年より現職。

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